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最近読んだ本-「日本語を叱る」 [本]

日本語を叱る!

日本語を叱る!

  • 作者: 加賀野井 秀一
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 新書

-------初版帯より-------
日本語はなぜ甘やかされたか
カタカナ言葉、一語文、タメ口、タテマエ漢語……。
現代語の傾向と対策から「雑種言語」の可能性を探る。
---
文化というものは、(中略)言語によって再生産されることのほうが
はるかに多いのではないでしょうか。
私たちは、漢語的な言葉づかいによって「タテマエ」をつくり出し、
和語的な表現によって「ホンネ」を作り出しながら、
わが同胞の多少とも分裂的な性格をつむぎ出しているように
思われてなりません。(「第三章」より)
----------------------

今年の4月に出版されたこの本、自分で買ったものではありませんでした。
ふと見るとテーブルの上にポイと置いてあったので、面白そうだなと。
(ちなみに買った本人は途中で止めてしまったそうですが。)
読んでみると、去年一年間学んだ「日本語」に関する様々なことを思い出しました。

「近頃の日本語は乱れている。」といって各現象を指摘しているだけでは、
一時のブームで終わってしまいます。
筆者は現在見られる様々な問題を「叱り」つつ、その理由を解き明かして行きます。
その理由の根幹にあるものとして、日本語の「詞-辞構造」を挙げています。

日本語は助詞などの接辞を使っていくらでも新しい言葉を取り入れられる構造をしていることで、
次々と新しい言葉を取り入れられるという側面があります。
たとえば、
---本文P97-9行より---
ワールドワイドなストラテジーのノウハウをデベロップする
--------------------
こんな文があったとすると、「な、の、を、する」などがあるおかげで、
なんだか意味はよくわからないなと思いつつ、文としての体裁は保たれているので、
どうやら日本語らしいということはわかるというわけです。

つまり、言葉の意味をつかさどる「詞」の部分はすぐにどんどん取り入れられる構造。
今後、どんな外国語がやってきてもすぐに取り入れられます。
便利です。
でも……本当に意味がわかるのでしょうか?

その構造に甘んじていると、カタカナ語の氾濫、役所言葉に見られる漢語の氾濫、
仲間内の言葉の氾濫。
これでは相手に自分が思っていることを正しく伝えられず、
コミュニケーションができませんよね。
「こんなふうに気をつけていけば」とそれぞれに提案もしています。

日本語の歴史的な経緯を簡単に追うのにも分かりやすくてよいと思いました。
比較的新しい本ということで、例に挙がっている文も感覚的に共感しやすく、
読み物としても面白いと思います。

-----おまけ-----

先日幼稚園のみんなと山でのお泊り保育から帰ってきた直後の息子。
甘えん坊がどうなることかと思いきや、思いっきり楽しんできたようです。




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コメント 7

jewel

テレビでは、話している内容は
「ら」抜きでも、テロップでは
入っていたりしますけど
やはり気になります。
by jewel (2006-07-15 16:18) 

みど

最近、よく話し言葉を直されています[あせっ][あせっ]
でも話慣れてる「ら」抜き言葉は全く治りません。。。。[あわわ][あわわ]
by みど (2006-07-15 18:23) 

私は大学生の頃に、言語学の教授に「君の日本語は斬新過ぎる」と言われました。
『日本語話者とは思えない』と言われたこともあります。
by (2006-07-15 23:37) 

椎茸

「ワールドワイドなストラテジーのノウハウをデベロップする」
これ、本気でメールなどでやり取りされていた言葉でした。。
カタカナのところがきっちり英語になっているくらいの違いで・・・。
私たちは「長嶋調メール」と呼んでいましたが、外資だけの特徴かと思ったら世間一般の特徴だったんですね[がーん]
by 椎茸 (2006-07-17 17:31) 

mokekek

jewelさんNice&コメントありがとうございます。[わはっ]
ら抜きで話している人のテロップをら抜きではない形で入れていると、
確かに気になりますね~。[わおっ]
話題になっているだけあってテレビ局も気を使っているのでしょうが。
昔こんな記事を書きました。よかったらご覧になってください。[ぴーっ]
http://blog.so-net.ne.jp/mokekek/2005-08-03

みどさんNice&コメントありがとうございます。
言葉は生き物ですから、多くの人がら抜きで話すようになってきている今、
ら抜きが絶対だめだというわけではないと思います。[いいえ]
ただ、みどさんは日本語の歌詞を歌うこともあると思うので、
日頃気をつけていないと、うっかり間違えてしまうということも
あるかもしれませんので、気をつけてねってことだと思います。[じーっ]

risakjさんコメントありがとうございます。[わはっ]
きっとrisakijさんはリズムのよい、様々な言語を織り交ぜた、
面白い言葉遣いをよくなさる方なのでしょうね[ぴーっ]
個人言語(idiolect)を自由に操ることは言葉を楽しむ上では、
とても大切なことだと思いますl。その人らしさの象徴でもありますし。
でも、時と場合、そして話す相手を見極める必要もあるのでしょう。[べーっ]

椎茸さんNice&コメントありがとうございます。[わはっ]
長島調メールは、確かに一般的な傾向ではあるものの、
きっと外資系企業の人の方が日常化してしまっている度合いが
強いのではないかと思います。[じーっ]
本来の意味を伝えるためには、無理にヘンな日本語にしようとして、
意味不明な漢語になるよりはその方がよい場合もあると思います。
どこまでカタカナ語で、どこまで翻訳語にしたらよいのかは、
なかなか難しい問題なんですね。[きょと]
以前こんな記事を書きましたので、ご参考までに。
http://blog.so-net.ne.jp/mokekek/2005-10-07
by mokekek (2006-07-21 22:08) 

それにしてもスゴイタイトルだよね・・・
おいらは、日本語苦手なので(といっても、外国語が話せる訳でもないのだが・・・笑)、いつも文法も、単語の使い方もテキトーになってしまっています・・・
なので、興味深い内容が綴られているのではないかと思います。
by (2006-07-25 22:31) 

mokekek

たっくんNice&コメントありがとう。[わはっ]
実はタイトルと内容はあまり合っていないような気がします。
いわゆる巷の日本語ブーム本とは一線を画しているはずなのに、
このタイトルじゃあ、その類だと思われても仕方がありません。
キャッチーなもの(おっと失礼、惹きつけるもの)にするためにこうしたのでしょうが。
誰もがいつもいつも正しい文法でじゃべっているなんてことはないと思います。
ただちょっと関心を持って気をつけると日本語を見直すきっかけには
なるかもしれませんね。[ふむっ]
by mokekek (2006-07-27 08:23) 

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