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ささやかな日常を壊すもの-舞台劇「空の村号」 [演劇]

藤沢子ども劇場の高学年例会
劇団仲間による

「空の村号」

7/18に湘南台市民シアターにて
観劇してきました。

あらすじを劇団HPから引用します。
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STORY

夢がいっぱいで、SFで冒険でフィクションで、
ホントのことなんかひとっつも入っていない映画を、今、作る!

福島の美しい里山で暮らす酪農一家の長男、楠木空は小学5年生。
2011年3月11日に東日本を襲った大震災と原発事故で家族も村も大きく揺れ動くなか、
空は取材に来ている映画監督から、本当のことを映すのがドキュメンタリーであると教わる。
しかし、空は家族や友達の震災後の様子を見ていると、本当のことなんて面白くないと感じてしまう。
そこで空は夢に生きる男になることを決意し、本当のことがひとつも入っていない映画を撮ることにした。
タイトルは「宇宙海賊船・空号の冒険!」
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モデルとなっているのは
福島県相馬郡飯館村
2011年3月11日の東日本大震災で
地震や津波の被害は少なかったものの
原発事故による放射線量過多の影響で
現在も全域が避難指示区域に指定されています。

目に見えない放射性物質によって
政府の見解や学者の意見に翻弄される人々。
いつもと変わらない風景なのに
遊びに出かけてはいけないと言われ
家族は喧嘩が増えて壊れていく様子に
戸惑う子どもたち。
作品ではかの土地の人々の"日常"が
小学生男子空の目を通して
生き生きと描かれており
気が付くと自分も空の家族になったかのような
感覚になるほど、引き込まれていきました。

震災当時、同じ関東地方にいながらも
ちょっと遠くにいる自分は
震災による直接的な被害を被った人々や
自分自身の食べ物や環境についての心配だけで
放射性物質による被害を受けている人々については
"とにかく逃げるしかないのでは?"
と思っていました。
日本には似たような場所が他にもあるだろうから
そういうところを探して行く方法もあるだろうに。

でもこの作品を観て
当たり前のことに気が付きました。
土地に慣れ親しんで住んできたおじいちゃんおばあちゃん。
決死の思いで都会から脱サラしてきた人。
ブランド牛になるまで大事に牛を育ててきた人。
"この土地"に根付いた暮しを営み、愛してきた人たちの気持ち。
いざ、自分がその立場にたったら
実際の行動の大変さもさることながら
気持ちの整理の付け方は
本当に如何ともしがたいものだろうと。

その"気持ち"に思いを馳せ
忘れてはいけないなと強く思いました。

人々が"こういう気持ち"になるようなことは
正しいことなのか?
正しいわけはない。
そういう観点で物事を考えていけば
自ずと答えが出てくるのではないかと思います。

原発に限りません。
あらゆること。

今回はひとりで観ましたが
機会を見つけて子どもたちにも
ぜひ観せたい作品だなと思います。

この作品では、主人公の牛たちは
サヨウナラをしなければならない…
となっていましたが
実際の飯館村では牧場の移転先を見つけて
がんばっている方がいらっしゃるようです。
飯館から避難の肉牛農家 新牧場で再出発
現時点では"飯館牛"を名乗れないのは悔しいと思いますが
諦めないでがんばってほしいと、心から応援しています。




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"命"より大切なものってあるの?-演劇「センポ・スギハァラ 再び夏へ」 [演劇]

この間の日曜日。
藤沢子ども劇場高学年例会で劇団銅鑼の
「センポ・スギハァラ 再び夏へ」
を観ました。

第二次世界大戦の最中
ナチスドイツの迫害を受け
リトアニアに逃げてきたユダヤ人に
日本政府の指示に背いても
副領事館長として
"すべて自分の責任"と
二千数枚の通過ビザを発給し
人道的に助けた杉原千畝さんの話です。


杉原千畝物語―命のビザをありがとう (フォア文庫)

杉原千畝物語―命のビザをありがとう (フォア文庫)

  • 作者: 杉原 幸子
  • 出版社/メーカー: 金の星社
  • 発売日: 2003/06
  • メディア: 新書




杉原千畝と「命のビザ」 ~東洋のシンドラーと呼ばれた外交官~
by 国立公文書館 アジア歴史資料センター
http://www.jacar.go.jp/modernjapan/p14.html


「シンドラーのリスト」に感銘を受けたので
"その日本版だな"と思いつつ
また新たな思いが生まれました。

劇中妻の幸子さんの
"大切なことをわかっていない人たちの指示に従うことはないわ。"
というようなセリフがとても胸に響きました。

人として、何が一番大切か。
目の前の人たちの
命以上に大切なものってあるの?

いつの時代でも、どんな世の中でも、
変わらないことなんじゃないかなと
思います。

今回の劇では、舞台は比較的シンプルで
役者さんたちのセリフが長く際立っていました。

ひとりひとりがそれぞれの立場で
"一番大切なものは何かを忘れないで"
そんなメッセージを受けとりました。

小6の息子から感想を引き出すのは
なかなか難しいのですが…
実在の人物ではない"藤島"という医学研修生が
印象的だったようです。

主人公の近くの人物としてストーリーテーラーとなることで
理解しやすくなっていたようです。
第三者の存在は観客に近い存在となるのでしょう。
夏目漱石の「こころ」の"私"のイメージと重なりました。


さて。
見えない力で命を蝕むものが蔓延る現代。
食品添加物、薬品、化学物質、放射性物質…
相手を追い込むような攻撃、etc.

"一番大事なもの"がブレなければ
たくさんの人が気がつけば
状況は変えられるのではないかな?

今放送中のTV連ドラの"信長協奏曲"の信長も
"Doctor X"の大門未知子も
命を一番大事に考えている主人公。
以前のものですが"HERO"の久利生公平も。

その心意気に共感している人は
たくさんいるはず!

杉原千畝さんに助けられたユダヤ人の
ある方が安倍首相を表敬訪問した
という記事がありました。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141027-00010001-agora-soci

日本にとても感謝の気持ちを持ってくださっていますが、
安倍さんはどんな気持ちでいたのかなぁ…
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命のしくみの基本的な原理-「かんがえるカエルくん」 [演劇]

先週の土曜日
藤沢子ども劇場の低学年例会で
前進座の「かんがえるカエルくん」
を観にいきました。

原作本はいわむらかずおさんの
こちらのシリーズ。

かんがえるカエルくん

かんがえるカエルくん

  • 作者: いわむら かずお
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 1996/04/25
  • メディア: 単行本



この他にも
「まだかんがえる〜」
「もっとかんがえる〜」
「よーくかんがえる〜」
があります。
四コマ漫画のような絵本で、
カエルくんがいろんな仲間と
自然やいのちや自分や他人や…
いろんなことをゆっくりのんびり
かんがえる様子が描かれています。

舞台ではどんな風になるのかな?
と思っていたら、
親しみやすい音楽と
面白いキャラクターの生き物たちで
ゆっくりのんびりながら
飽きないスピードで楽しめました。

日常のささいな"どうしてなんだろう?"
のこたえを
カエルくんといっしょにかんがえていくと
"なるほどそうなのか"と
だんだん気持ちが晴れていくような
気がしました。

絵本をゆっくりながめていくと
同じような気持ちになれると
思うのですが、
舞台の歌と雰囲気で
子どもたちには一層印象深く
記憶に刻まれたのではないかと思います。

今は"楽しかったな"だけでも
これから先何かの拍子に思い出して
合点がいったりすることも
あるんじゃないかと思います。

わたしは内容のなかに
いくつもそのようなものを
発見しただけでなく
このカエルくんのように
"ゆっくりのんびりかんがえる"ことで
"カイロスとクロノス"を思い出していました。

ときの不思議-「カイロスとクロノス」

この夏に生まれた
生後2ヶ月の次女も
なんとなく舞台を眺め
音楽を聴いている様子でした。
いのししくんが突然
客席後方からおおきな声で現れたとき
ビクッとしてブリっとして
人生初の観劇中にう〇ちをしましたwww

親子で楽しめてよかったです♪
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人形劇-「14ひきのひっこしだ」 [演劇]

先日藤沢子ども劇場の低学年例会、
人形劇「14ひきのひっこしだ」
を観に行きました。

原作本はこちら

14ひきのひっこし

14ひきのひっこし

  • 作者: いわむら かずお
  • 出版社/メーカー: 童心社
  • 発売日: 1983/07
  • メディア: ハードカバー



人形劇は絵本から飛び出してきた14ひきが、
自然豊かな描写の中で
いきいきと、かわいらしく動いていて
楽しいものでした。

いわむらかずおさんの作品は、
自然を大切にし、
家族に一人一人を大切にし、
やさしさに溢れています。
それを人形劇にした人形劇団ポポロさん、
絵本の世界観に忠実ながらも
台詞や動きで新たな世界が広がっていました。
見ていてイライラしてしまうような
小ネズミたちを、
決してせかさず叱らない大人たち。
見習わなくちゃ…
と思ったりしました。

子ども劇場ではみんなで見る「例会」の前に、
取り組みと言って
子どもたちと作品理解をする活動をします。
今回は絵本の表紙をカラーコピーし、
キャラクターの形に切り抜いて
紙人形を作り、
それぞれお気に入りの子を
自分で持ってみて
仲良しになってもらいました。

また、同じシリーズのこの絵本を読みました。

14ひきのあさごはん

14ひきのあさごはん

  • 作者: いわむら かずお
  • 出版社/メーカー: 童心社
  • 発売日: 1983/07/01
  • メディア: 単行本



そして最後のシーンをイメージして、
手作りパンや木の実、ドライフルーツ、チーズなどを
みんなで食べたりしました。

ただ観に行くよりも
より楽しめる活動になったと思います。

それにしてもこの作品、
英語版や、
DVDなんかも出てるんですね。

14ひきのひっこし・英語版

14ひきのひっこし・英語版

  • 作者: いわむら かずお
  • 出版社/メーカー: 童心社
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: 単行本



14ひきのひっこし[DVD]

14ひきのひっこし[DVD]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: TDKコア
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 単行本



DVDはアニメかしら?
ちょっと興味アリ。

ちなみに人形劇団ポポロさんによる
この「14ひきのひっこしだ」は、
2010年7月24日に高円寺でも見られるようです。

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舞台劇「はつかねずみと人間」 [演劇]

す~っかりご無沙汰しております。
元気にしております。

息子(小1)と参加している藤沢子ども劇場。
高学年向け作品と位置づけられた
スタインベック原作の「はつかねずみと人間」を
ひとりで観に行きました。
toplogo-a.JPGの公演です。

20nezumi-a.JPG
20nezumi-c.JPG

HPよりあらすじを抜粋します。
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STORY
1930年代、大恐慌時代のカリフォルニア――
いつか『自分たちの農場』を手に入れたいと
ささやかな夢を追い続ける貧しい渡り農場労働者
ジョージとレニーはいつも一緒。
『俺にはお前が、お前には俺がついているから
他の奴等のように孤独ではない』と
今日もふたりは農場から農場へと渡り歩く。
レニーは優しく純粋な男だが人並みの人間関係を結ぶのは難しく、
絶えず面倒に巻き込まれる。
ジョージはそんなレニーをいつもかばっているのだが…
やっと仕事にありついた農場でふたりを待っていた運命は――
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気だるいサマータイム♪でつなぐ薄暗い各場面。
明るく楽しい話ではありませんが、
ぐいぐいっと引き込まれて行きます。
小学校3年生以上は鑑賞できるというこの作品、
大人でも見ごたえ十分です。
これを鑑賞できる小学生は相当ハイレベルだなと
思いました。
低学年から引き続き観劇のスキルを積んだ
劇場っ子なら可能なのでしょうか。

さて、この先はネタバレを好まない方は
ご覧にならないでくださいね。


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