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最近観た映画-「殯の森(もがりのもり)」 [映画]

先日のカンヌ映画祭で、日本人である河瀨直美監督の作品
「殯の森(もがりのもり)」
がグランプリを受賞したということで、
先日NHKBSハイビジョンで放映されたものを観ました。

殯(もがり)とは、「喪上がり」から来た言葉だとか。
監督の故郷だという奈良のグループホームが舞台です。
内容はこちら、
-----「殯の森(もがりのもり)」 HPより------
 奈良県東部の山間地。自然豊かなこの里に、旧家を改装したグループホームがある。
ここでは軽度の認知症を患った人たちが、介護スタッフとともに共同生活をしている。
その中の一人、しげき(うだしげき)は、33年前に妻・真子(ますだかなこ)が
亡くなってからずっと、彼女との日々を心の奥にしまい込み、仕事に人生を捧げ生きていた。

 そして今、しげきは亡き妻の想い出と共に静かな日々を過ごしていた。
誰も立ち入ることの出来ない、しげきと妻だけの世界。
そのグループホームへ新しく介護福祉士としてやってきた真千子(尾野真千子)もまた
心を閉ざして生きていた。
子どもを亡くしたことがきっかけで夫(斉藤陽一郎)との別れを余儀なくされたのだ。
つらい思いを抱えながらも、真千子は毎日を懸命に生きようとしていた。

 ある日、亡き妻の思い出の詰まったリュックサックを、
そうとはしらず何気なく手にとった真千子を、しげきは突き飛ばしてしまう。
自信を失う真千子を、主任の和歌子(渡辺真起子)は静かに見守り、
「こうしゃんなあかんってこと、ないから」とそっと励ます。
次第に、真千子は自分の生き方を取り戻し始める。そして毎日の生活の中で、
やがて心打ち解けあっていく、しげきと真千子。

 真千子は、しげきと一緒に妻の墓参りに行くことになるが、
途中で真千子が運転する車が脱輪してしまう。助けを呼びに行く真千子。
しかし、事態は思っても見ない展開になるのだった・・。
-----------

ドキュメンタリー出身の監督だというだけあって、
映画の始まりはまさにグループホームの様子を取材した
ドキュメンタリー番組のような内容でした。

そのうち主人公の2人がクローズアップされ、
2人だけのシーンになってからラストシーンまでは、
まさに映画。

セリフが多く、バックミュージックやおとぼけ、アクションシーンやCGなどの
刺激が多い映画に慣れていると、なんとも観るのが難しい映画だと思います。
わたしもしばらくはなかなか入っていけずにいたのですが、
観ているうちに引き込まれ、観終わった後には素直に
「いい映画だったな。」と思いました。

日本の一般的な視聴者にはどう評価されるのかとても興味があります。
さまざまな外国作品や古い時代の映画など常日頃幅広いジャンルに触れている人は
すぐにこの手の映画に頭を切り替えることができるのかもしれません。

わたし自身がいくつか見たことのあるヨーロッパの映画の中には、
同じようなトーンのものがありました。
わたしの貧弱な映画観ではありますが、
今回のカンヌという映画祭、ヨーロッパの方々には
受け入れられやすい類の作品だったのではないかと思いました。

主人公の2人のうちの「しげきさん」。
元々役者さんではなかったそうですが、見事な表現力に驚きました。
自然なのに、豊か。
「演技しない」強さのようなものを感じました。
「真千子さん」はどこかで見たことのある女優さんだなと思っていたら、
NHKの朝ドラ「芋たこなんきん」に出ていたと聞いて、
なるほどと合点がいきました。
そんなメジャーや女優さんなのに、
最初のドキュメンタリー風のところでも自然で演技臭が全くしなくて、
さすがでした。

配役の名前と役者さんの名前が同じなのも面白かったです。

この先は内容に関するものなので、これからご覧になる方はご注意を。↓↓↓


妻を失って33年間、しげきさんがどんな思いで生きてきたのか。
そして、息子を失った真千子さんが、そのしげきさんの気持ちをどう見守るのか。
真千子さんはまだ自分自身の体験を遠くから見られるほど
心の整理がついていないのですが、
親しい人の「死」とどう向き合ったらいいのか、しげきさんを見て答えを得るのです。
遭難して、雨に打たれて、寒くて凍えそうになっているしげきさんを、
真千子さんが自らの体で暖めようとするシーンは、
「自分が生きている実感を得る」という強烈な体験の象徴です。

最後のシーンでしげきさんが妻のお墓にたどり着き、
そのまま妻のところに行ってしまうのではないかと
気が気じゃなかったのですが、
ヘリコプターの音が聞えた=助かったということでいいのでしょうか。
わたしは今ひとつ読解力がなくて困ります。。。






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コメント 6

TONTON

深いですね。大切な人を亡くした思い出は私にもあります。
「もしあのときに私がそばにいれば・・・」とか今でも思います。
(実際はありえないのですが・・・)
みてみたいですが、思い出しちゃうかと思うと少し怖い気もします。
by TONTON (2007-06-01 08:50) 

jewel

素晴らしい快挙です!
同年代の女性がこれほどの賞を
ゲットするとは! 励まされます[はーと]
by jewel (2007-06-01 11:54) 

mokekek

TONTONさんコメントありがとうございます。
身近な大切な人を亡くしたとき、
その後どうやって生きていけばよいのか、
きっとわたしは分からなくなってしまうのではないかと思います。
この映画でそんな自分自身の未知の心を垣間見られた気がしました。

jewelさんNice&コメントありがとうございます。
この監督さんは奈良出身で小さなお子さんがいて、
介護の経験がある方なのだそうです。
関西弁のやわらかい響き、子どもを持つ母の気持ち、
介護が必要となっている人の気持ち。
作品の随所にリアルさを感じるのも
自分自身の経験を作品に昇華させているからなのでしょう。
素晴らしいですね。
by mokekek (2007-06-02 08:51) 

え~!もうテレビで放映されてたんですか!?
見たかったなー。
でも、我家にはBSが見れるテレビがないからなー。
結構、NHKのBSって見たい番組やってますよね
by (2007-06-05 08:49) 

mokekek

ダイモン。さんNice&コメントありがとうございます。[わはっ]
そろそろ映画館でも始まりますね。
といっても、かなり限られたところでの放映のようですが。。。
うちはケーブルテレビなので、テレビ自体はブラウン管ですが、
BSもデジタル放送も、たくさんあるケーブルテレビも見られます♪

おさかな♪さんNiceありがとうございます。[わはっ]
by mokekek (2007-06-12 22:58) 

mokekek

nakashiさんNiceありがとうございます。[わはっ]
by mokekek (2007-07-21 10:49) 

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